アンドリュー・ワイル博士のトピックにロルフィングが慢性的な喘息持ちに貢献できることが書いてあった。
喘息や気管支炎の原因は、外的環境から体質の問題、心理的要因など、いくつもの要因が複合的に混じり合って起こることは、近年では多くの人が知識として判っている範囲だけど、ワイル博士は、「ロルフィングでは、慢性的な咳発作のために定着してしまった身体の制限パターンに直接働きかけることができる」といった内容で紹介してくださっている。
(注:喘息そのものを治すという意味ではありません)
<以下、引用文を翻訳しました>
- 原文の出展元 Andrew Weil, MD 公式サイト -For long term control and prevention:長期間にかけての対処&軽減策の1つとして:
Have some manipulative work done on the chest to break up restrictive patterns in nerves and muscles that develop in chronic asthma. The best systems I know for this are osteopathic manipulation, especially from a practitioner of cranial therapy, and Rolfing, a form of deep-tissue massage.喘息の慢性症状を根強く引き起こす神経系や筋肉系の制限パターンを解除するために、胸郭周辺に手技療法を施すことは助けになる。私が知っている中では、クレニオセイクラル・ワーク(頭蓋仙骨療法)や、深部組織に働きかけるロルフィングなど、徒手による整骨を施す手技療法が最も適している。
アンドリュー・ワイル博士
さて、ワイル博士のおっしゃることでは、
胸郭の制限をロルフィングでリリースするとか、クレニオで自律神経系の働きを(ゆっくりながらも)向上させることで、喘息で窮屈になった身体を緩めてやる(※鎮静も含めてると思う)という事ですが、これには少しばかりの配慮も必要だと私個人は常々思っている。
(あくまでも個人的所感です)
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喘息もち、あるいは、アトピー性皮膚炎に悩まされている方なら実体験としてご存知だと思いますが、喘息とアトピー体質は密接に関連しています。
実際にロルフィングを受けにくる人の、慢性化した咳き込み動作による胸郭周辺の組織は、筋膜の可塑性(しなやかさ)に制限を受けていることがあるが、大人になってからのアトピー体質も絡んでいる場合には、およそその部位周辺の皮膚の表面にもアトピー症状も持っていることがあったりする。
逆もしかりで、
アトピーに悩んでいる人で、特に、顔まわり~首・胸元の皮膚が過敏になっている状態では、そこが痒いとか痛いとか、あるいは、常に皮膚の状態が気になって、無意識に胸が前に閉じる姿勢をしていることが多かったりする。ある時期(外用薬を使っているときなど)には、胸元がかたい、肩関節は内旋気味、手首を屈曲させるようなパターンが強調されていたりが見られる(全てではないが)。ステロイド外用薬の長期使用で、ちょっとしたことで気管支や咳の症状が出やすい時期があったりなかったりもする。
また、どちらの症状とも、それらを治療中で症状が改善する過程で、(一時的であれ)それらの症状を2つ同時に併発するような現象が起きたりする。
ワイル博士の提案のように、こういう時は胸郭を緩めてあげたいと思うところだが、実際にその辺りの皮膚も外部刺激に弱くて、なかなかロルフィングで深く入るタッチが許されない場合もある。(人によっては、触れられるだけでも刺激となるし、炎症部位から遠い箇所にワークをしても、筋膜繋がりでの急速な組織の代謝改善やリリースによって一時的であれ、皮膚のかゆみが増したりする現象が起きることもある)
私自身も、最近ではすっかり無縁だが、もともとアトピー体質で、自分が初めてのロルフィングを受けている最中にこういうこと経験し、またクライアントの中にも時々同じような事が起こる人に遭遇するので、その時のメカニズムはよく理解できる。
これを「好転反応」だと片付けてしまう人もいるが、実際には、いろんな事が同時多発しているので、何かどうだと定義づけることが難しいのが、喘息やアトピーの不可解な局面である。大抵の場合、喘息の人もアトピーの人も、そのような現象への対処には慣れていて、うまくやり過ごす心構えは多少あるのだけど、やはり辛いことには変わりがない。
深部組織へのワークを受けていても、それによってアレルギー反応がゾワゾワすることで、あんまり緩まった気分になれないのが、皮膚の弱い人の正直な印象であろう。
なので、特に皮膚の症状に出ている人の場合は、皮膚刺激にさらされることが気になって、セッションを快適に受けていられなく感じる場面があるため、できるだけ知覚を使ったムーヴメントや、同じ組織に深く入るにしても、単にストロークをするだけではない、繊細なタッチにシフトをして注意して行なうようにしている。
時に必要に応じて、少し圧のかかったストロークもまじえることもあるが、この時は、受け手(クライアント)の「触られること」への順応性 (Adaptability) を十分観察した上で行なうよう配慮するようにしている。
ロルファーの繊細さを伴ったタッチの仕方が、かえって皮膚粘膜系が敏感な人の過敏さを呼び起こすことも多々あるので、どんなに配慮をしていても、それがクライアントの不快症状を引き起こさないやり方とは言えないのが実際なので、その度合いはクライアントのその時の状態にもよるし、ロルファーもクライアント自身も、できるだけ
滴定(てきてい)の加減をみながら変化を見守るようにしたいところ。
経験から言えば、
喘息もアトピーもあまり激しい症状が出ている期間は、ロルフィングを受けるタイミングを決める際、上記に述べたような現象が起こる可能性も想定した上で取り組まれると、変化に対する心の準備となるのかも知れない。
まずは、ロルフィングなどの手技療法以外にも出来ることはあって、それらを含めて総合的に併用されるとよいのではないかと思ったりする。
以上
また取り留めもなく書いてしまいました。
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